実際の導入例を見てみよう

地域包括ケアシステムでは、全国に配置されている地域包括支援センターが中心となり、高齢者への医療・介護サービスの提供や、見守り活動、健康な高齢者への介護防止サービスを提供しています。では、各地域ではどのような取り組みがあるのでしょうか。東京都世田谷区では、独自に高齢者の実態を把握するために調査を実施しました。また、健康や介護予防の重要性について、地域住民から意見を募集。地域包括支援センターは「あんしんすこやかセンター」と呼ばれ、親しみやすいネーミングになっています。地域のNPO、ボランティア団体、大学などが連携し、共に支援活動を行っています。あんしんすこやかセンターでは、犯罪防止のために防犯活動を行っています。さらに、「もの忘れ相談」として、認知症の専門相談員が高齢者やその家族の相談に乗ります。専門相談員は、「認知症すこやかパートナー」と呼ばれ、様々な質問に答えています。

熊本県上天草市湯島地区では、高齢者が非常に多く、独自の活動が行われています。ひとり暮らしの高齢者宅に緊急通報システムを設置し、急な病状の悪化やトラブル時に助けを呼べるように環境を整えました。またヘルパー養成講座を行い、介護サービスを提供するための基盤を整えることに成功しました。地域包括ケアシステムの取り組みは、ある地域で成功したからと言って他の地域でも上手くいくとは限りません。住民の特性や財政状況を鑑みながら、それぞれの市町村で仕組み作りを進めていくことが大切です。